No.59 「上唇小帯切除術を伴う矯正治療」について
2015/02/05小帯とは口腔内において上下唇、頬、舌にあるヒダのことで、筋組織と結合組織を含んでおり、口腔機能の働きに寄与しています。
通常、上唇小帯は出生直後から生後1歳頃までは、歯槽頂の近くに付着しています。上アゴの発育に伴い、歯槽の高径は増大し、上唇小帯は上方に移動していきます。しかし、時として、付着部位が十分に上方に移動しないことがあります。
上唇小帯の形態異常としては、肥大し口唇への移行部で扇形に広がるものが多いですが、歯槽部の高位に付着する肥大上唇小帯の場合には、正中にすき間(正中離開)が生じたり、歯の位置異常を起こしたり、口唇の運動を抑制したり、歯磨きがしにくいなどの日常生活に支障をきたします。
前歯は通常、正中離開の状態で萌出しますが、このような生理的な正中離開は、その横の歯が萌出完了する頃にはほとんど閉鎖されます。しかし、小学校を卒業する頃になっても正中離開が生じている場合には、上唇小帯を切除する必要があります。