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Vol.167 片側性II級不正咬合の矯正治療

2024/02/18

 今回の症例は、30歳の女性で、前歯の突出とガタつきを主訴に来院されました。
 治療プランとして3パターン挙げられます。①上下4番抜歯②上顎右側4番抜歯③上顎非抜歯および下顎前歯1本抜歯。どの治療プランが最適かは矯正専門医でも意見が分かれるところですが、歯性の要素より上顎骨の骨自体が前方へ突出しており、骨格性の要素が強い場合は、小臼歯抜歯はリスクが高いため①は避けるべきです。右側の咬合はフルクラスII状態を呈しているため、②を選択してしまいそうですが、右上のみの片側抜歯をすると咬合平面が歪んでしまう懸念があります。そのため、③の完全舌側傾斜している下顎前歯1本を抜歯して、下顎前歯のフレアリングを避けつつ、上顎臼歯は8㎜の遠心移動を行って、上顎は非抜歯で治すことにしました。
 8㎜もの遠心移動となると難しいのですが、カリエールモーションを装着し、8ヶ月間、患者様には顎間ゴムを頑張ってもらった結果、6㎜の遠心移動が行えて、臼歯関係はクラスⅡからほぼクラスIに是正できました。
 その後、上顎にもブラケットを12か月装着して上下歯列全体の歯並びを整え、さらなるゴムかけをしてもらい臼歯関係も完全なクラスIに是正できました。
 治療期間は20ヶ月。しっかり噛める安定した咬合と美しい歯並びとなり、治療プランの成功と言えるでしょう。

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年齢・性別
30歳 女性
治療期間
20ヶ月
抜歯
下顎前歯1本抜歯
治療費
80万
治療内容
全顎矯正治療
施術の副作用(リスク)
歯を動かすことによる痛み、許容範囲外の歯根吸収、稀に歯髄壊死や顎関節症を引き起こす、治療後の過度な後戻りなど。