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No.94 「矯正治療の診断と治療法」について

2018/01/18

今回は、矯正治療の診断と治療法についてお話しします。

 32歳の女性で反対咬合および前歯の叢生(がたつき)を治したいと当院に来院。口腔内を確認したところ、右上の小臼歯が一本欠如していました(画像1)。そのため、欠損部位に周囲の歯が寄っていき、前歯が内側に倒れこんでしまい、反対咬合になってしまったと考えられます。正常咬合といわれる良好な歯列は、前歯・小臼歯・大臼歯の上下左右の位置関係が緊密に保たれています。たとえ一本の歯でも失って、そのまま放置していると歯並び全体がどんどん崩壊していきます。
 この歯列を改善すべく私が出した診断結果は、右上の欠損部位に合わせて、右下の同部位の小臼歯を抜歯します(画像2)。反対側の左側は上下とも非抜歯で矯正治療を開始する事としました。一本欠損により崩壊した歯列を改善するには、イレギュラーな治療法を選択せざるを得ない場合があります。しかし、この治療法が間違っていないことは長年の臨床経験から自信がありました。
 使用した矯正用器具として、倒れこんでいる前歯を外側に押し出すリンガルアーチ(画像3)。歯列不正を正すマルチブラケット装着。牽引に必要なアンカースクリューを一本埋入。二年間の治療期間を要しましたが、歯列はここまでキレイに治りました。横顔でみると反対咬合が治った事により下唇の突出感が軽減され自然な感じになりました。
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年齢・性別
32歳 女性
治療期間
24ヶ月
抜歯
下顎右側4番
治療費
80万円
治療内容
全顎矯正治療
施術の副作用(リスク)
歯を動かすことによる痛み、許容範囲外の歯根吸収、稀に歯髄壊死や顎関節症を引き起こす、治療後の過度な後戻りなど。