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No.137 矯正治療に伴うリスクと治療限界について

2021/08/23

 矯正治療は歯並びを根本から治せる唯一の治療法ですが、魔法ではありません。

 矯正器具にて歯槽骨(歯を支えてる骨)の吸収・添加を繰り返しながら歯は動いていきます。言い換えると歯周組織にダメージを与えながら歯を動かすため、それに伴うリスクや副作用が存在します。

①歯が並ぶと歯茎が下がる場合がある

 矯正治療により歯茎が下がり、歯の根元にブラックトライアングルと呼ばれる隙間が生じることがあります。歯の凸凹の程度や歯槽骨の厚みの状態により自然に生じてしまう現象のため、かみ合わせに問題はないですが、見た目を気にされる方も多く、ある程度は修正可能です。

②治療期間が長期におよぶ場合がある

 矯正治療は、一般的に2~3年かかりますが、歯の動きや噛み合わせ、開始年齢により4~5年かかる場合もあります。

③顔の歪みは治しづらい

 最初から左右の奥歯の高さや顎の長さが違う場合、正面から見ると、顔が歪んで見えます。これは治しづらいです。まれに矯正治療中にズレてしまうこともありますが、治せる場合と治しづらい場合があります。

④虫歯や歯肉炎になりやすい

 矯正治療は、歯に矯正器具をつけ、歯を動かしていきます。そのため、矯正器具の周りにはプラーク(食べカス)が付着しやすく、しっかり歯磨きをしないと虫歯や歯肉炎になってしまいます。

⑤歯根(歯の根)が短くなる場合がある

 矯正治療で歯を動かすと、生理的な歯根吸収を起こすことがあります。しかしそれにより歯が抜けやすくなるということはありませんのでご安心ください。

⑥顎関節症について

 歯並びが悪いと、顎関節症を併発していることがあります。この場合、矯正治療で歯を適正な位置に戻すことで顎関節症は軽減、改善されます。

 逆に矯正治療により顎位(噛み合わせ)が変わり、顎関節症を引き起こす場合もあります。この場合は一時的なことがほとんどですが、慢性化して治りづらくなる場合もあります。

⑦治療ゴールが術者と患者様で同一になるよう、初診時に治せるところと治せないところをはっきり理解しておく事が重要

 歯を動かすにも限界があるため、各々の患者様の治療ゴールも異なります。治療前に予測される治療結果をご説明いたしますので、同じゴールを目指していきましょう。

 これらのリスクを充分にご理解の上、矯正治療を始めていただければ幸いです。