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Vol.164 右側犬歯の欠損を伴う 矯正治療

2023/11/21

歯並びは上顎14本および下顎14本の歯が各々正しい位置に噛み込むことで咬合のバランスが保たれています。1本でも歯を失ってしまうと、その前後の歯が倒れこみ、全体の歯並びが崩壊してしまいます。今回の症例は、36歳の女性、主訴は歯並び全体のガタつきを治したいとの事でした。口腔内を確認すると、右側の犬歯が欠損していました。犬歯の働きとして、「歯軋り」などの歯を左右に動かす際に、上下の犬歯同士のみを接触させることで、前歯や奥歯に負荷がかからぬようにしてくれます。このことは「犬歯誘導」と呼ばれ、噛み合わせの崩壊を招かない大事な要素として知られています。

この大事な犬歯が右側のみ欠損していて、その犬歯のスペースは既に埋まっており、歯並び全体が右側にズレてしまって咬合状態は崩壊していました。この矯正治療のポイントは、上下左右の歯並びを対称にすることです。上顎左側は犬歯の後ろの小臼歯を抜歯、下顎左右の小臼歯の抜歯をおこないました。上顎はアンカースクリューを用いて、歯列を左側の抜歯部位に移動して、下顎は左右対称に抜歯スペースを閉鎖していきました。3年という月日を要しましたが、崩壊していた咬合を安定した咬合状態まで改善できました。まさに審美性と機能性の両方を獲得できた矯正治療といえるでしょう。

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年齢・性別
36歳 女性
治療期間
36ヶ月
抜歯
右上3番欠損、左上4番、左右4番
治療費
80万円
治療内容
全顎矯正治療
施術の副作用(リスク)
歯を動かすことによる痛み、許容範囲外の歯根吸収、稀に歯髄壊死や顎関節症を引き起こす、治療後の過度な後戻りなど。