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Vol.170 難治性上顎前突の矯正治療

2024/05/24

 患者様は25歳の女性で、上顎前突(出っ歯)とスペースアーチ(すきっ歯)を主訴に来院されました。このような状態をディープバイトと呼び、前歯の噛み込みが深く、常に上顎前歯が下顎前歯を突き上げてしまっているため上顎前歯がどんどん前に出て、スペースもさらに開いていきます。さらに上顎の口蓋(内側)歯肉が圧迫されるため、歯肉炎となり疼痛や歯肉腫脹を引き起こす可能性もあります。
 ディープバイトは非常に治しにくい噛み合わせですが、私がよく使用しているカリエールで治すことができます。カリエールの本来の目的は、数ヶ月間、上下の歯にゴム掛けを行い、Ⅱ級の不正咬合をI級の正常咬合にすることですが、副産物として得られる臼歯部の挺出によりディープバイトの改善も期待できます。
 今回は、両側ともシビアなⅡ級状態を呈したいたため、5ヶ月、カリエールを使用してもらいました。その結果、I級の正常咬合の獲得と画像では分かりにくいのですがバイトが浅くなっております。
 私の経験上、カリエール以外のメカニクスで、この状態までもっていくのは不可能です。このようにバイトが浅くなれば、あとはブラケットに付け替えてアーチを整えさえすれば完成です。
 治療開始から20ヶ月で美しい歯並びと安定した噛み合わせを得ることができ、患者様にも大変満足していただけました。

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年齢・性別
25歳 女性
治療期間
20ヶ月
抜歯
非抜歯
治療費
85万
治療内容
遠心移動を用いた全顎矯正治療
施術の副作用(リスク)
歯を動かすことによる痛み、許容範囲外の歯根吸収、稀に歯髄壊死や顎関節症を引き起こす、治療後の過度な後戻りなど。