抜歯即時インプラントで治療期間短縮の可能性 ─ メリットとリスクを専門医が解説
2025/10/09目次

抜歯即時インプラントとは?適応の目安
骨幅・感染状態・前歯部審美要件
- 骨幅:抜歯窩周囲に連続した骨壁が残存していること
- 感染状態:膿・肉芽組織など急性炎症所見がなく抜歯窩が清潔
- 審美要求:前歯部では歯肉ラインを維持できる軟組織量があること
抜歯即時インプラントは、歯を抜いた直後にインプラントを埋入する手技で、抜歯窩治癒を待つプロセスを省ける可能性があります。とはいえ 適応は非常に限定的 で、CT で骨量を立体評価したうえで骨幅・骨高・感染の有無・歯肉形態が基準を満たす場合にのみ検討します。
当日の流れ:抜歯→埋入→仮歯装着までを実況
1ピース型なら1回法+即時荷重が可能
- 抜歯後すぐに 1 ピース型インプラントを埋入
- 二次手術不要で切開範囲を最小化
アバットメントが一体化した 1 ピース型は、抜歯窩に直接埋入しても追加切開を要しません。サージカルガイドを併用して角度ブレを抑え、十分な初期固定が得られた場合に限り、樹脂製の仮歯を当日装着し軽い咬合機能と審美性を回復します。
痛み・腫れを抑えるポイント
- 外科侵襲を抑えた最小切開と短時間手術
- 術直後 24 時間は「20 分冷却→20 分休止」を反復
- 抗生剤・鎮痛剤をタイムテーブルで管理
抜歯と埋入を1日にまとめても、粘膜剝離を最小限に抑えれば軟組織損傷は軽度で済みます。当院では術後のアイシングと服薬時刻を記載したシートをお渡しし、痛み・腫脹のピークを 24 時間以内に抑制する体制を整えています。
抜歯即時インプラントのメリットとリスク
期待できるメリット
適応症例では抜歯窩治癒を待つ 2〜6 か月の工程を省けるため、治療期間を短縮できる可能性 があります。抜歯当日に仮歯を装着できれば歯肉ラインを保持でき、見た目のストレスを抱えず社会生活へ復帰しやすい点も利点です。さらに手術回数が1回で済むため、通院や麻酔を繰り返す心理的負担を軽減できます。
注意すべきリスク
- 感染の拡大:抜歯窩が完全に無菌でない場合、補填材やインプラント表面に細菌が残り周囲炎を招くリスクがあります。
- 初期固定不良:骨質が軟らかかったり骨幅が不足していると固定が甘くなり、早期動揺から再手術が必要になることがあります。その際は骨造成を追加するため治療期間と費用が延びる可能性があります。
即時埋入ができないケース
非適応の代表例と理由
- 重度歯周病で骨吸収が著明
- 抜歯窩に急性炎症・膿瘍・肉芽組織が残存
- 強い歯ぎしり・食いしばりで咬合力が過大
- 喫煙・コントロール不良の糖尿病など血流障害がある
これらの条件では成功率が大きく低下すると報告されています。当院では 非適応と判断される症例の方が多い ことを必ずご説明し、通常埋入や骨造成を含む治療計画へ切り替えています。
長期的な成功率と注意点
定期メンテナンスの重要性
文献では、厳格な条件を満たし適切な外科手技が行われれば、即時埋入インプラントも通常埋入に近い 5〜10 年生存率を示すとされています。ただし周囲炎や咬合トラブルが進行すると予後に影響しやすい傾向があるため、3〜6 か月ごとの検診 とプロフェッショナルクリーニングを徹底することが長期安定の鍵となります。
まずは適応チェック:無料カウンセリング
抜歯即時インプラントの可否は CT 診断と口腔内環境の精査が必須です。当院のカウンセリングは無料で、CT 撮影が必要な場合には目的と費用を事前にご説明します。専門医が複数プラン(即時埋入/通常埋入+骨造成 等)を比較提示し、メリット・リスク・期間・費用を十分に検討したうえで治療を開始します。
医療広告ガイドラインに基づくリスク・副作用
抜歯即時インプラント後には腫脹・疼痛・内出血・感染・初期固定不良・骨吸収による審美性変化・隣接歯への影響が生じる場合があります。治療効果には個人差がありますので、担当医の診断と説明を受け、ご自身でご判断ください。