Vol.187 前歯部開咬を伴う臼歯部クラスII症例
2025/10/24今回ご紹介するのは、19歳女性の症例です。「前歯でモノが噛めない」「歯並びの凸凹を整えたい」という主訴で来院されました。
治療開始
精密検査の結果、前歯が噛み合わない“前歯部開咬”と、奥歯の咬み合わせが前後にずれている“臼歯部クラスⅡ”の状態が確認されました。分析のうえ、上顎第1小臼歯(4番)と下顎第2小臼歯(5番)を抜歯し、全顎矯正治療を行う方針としました。
矯正治療で最も重要なのは、上下臼歯(奥歯)の位置関係を正しく整えることです。臼歯の咬合がクラスIの状態に改善されると、前歯の位置も自然と理想的なバランスに導かれます。逆に臼歯関係が不良なままでは、前歯をいくら整えても安定した咬合は得られません。
本症例では、下顎5番の抜歯によりクラスIへの是正を容易にし、臼歯関係を確立した段階で前歯を舌側方向へ牽引しました。抜歯スペースを利用して前歯を後方へ移動させると、自然な力の方向により開咬が改善し、適切な被蓋が得られます。

治療結果
治療期間はおよそ2年。予定どおりに治療を終え、機能的にも審美的にも良好な結果を得ました。現在はリテーナーによる保定中で、咬合は安定しています。
矯正治療のゴールは、見た目の改善だけでなく、長期的に安定した咬合の確立にあります。そのためには、「臼歯関係を正しく整える」ことが治療成功の鍵なのです。
- 年齢・性別
- 19歳 女性
- 治療期間
- 2年
- 抜歯
- 上顎第1小臼歯、下顎第2小臼歯
- 治療費
- 90万
- 治療内容
- 全顎矯正
- 施術の副作用(リスク)
- 歯の動く痛み、器具による不快感や口内炎、虫歯や歯肉炎のリスク、歯根吸収、後戻り




